Tシャツの抗菌防臭と消臭の違い|表示の確かめ方
抗菌防臭は「菌が増えるのを抑えて、においを出にくくする」加工です。 消臭は「出てしまったにおいの成分を減らす」加工です。働きかける相手が、菌とにおいの成分で違います。
汗のにおいが気になるスタッフTなら、抗菌防臭が候補です。タバコや料理のように外から付くにおいなら、消臭の表示で「どのにおいを試したか」を見ます。
スタッフTやユニフォームを選ぶ担当者に向けて、表示を見たときに確かめることと、発注先に聞くことをまとめます。
抗菌防臭と消臭は何が違う?
違いは、何に働きかけるかです。繊維製品の機能を試験する、ある試験機関の案内では次のように説明しています。
- 抗菌防臭:「汗や汚れに由来する臭いの発生を抑えることを目的とした加工」
- 消臭:「分解・吸着などの機能をもつ物質を繊維に練りこむ、または加工剤を繊維・生地に付与する加工」
つまり抗菌防臭は、においのもとになる菌を増えにくくします。消臭は、におうものを生地が吸ったり分解したりして減らします。
| 比べる点 | 抗菌防臭 | 消臭 |
|---|---|---|
| 働きかける相手 | 生地の上の菌 | においの成分 |
| ねらい | においを出にくくする | 出たにおいを減らす |
| 試験で見るもの | 菌の数 | においの減り方 |
「防臭」と「消臭」は字が似ていますが、同じ意味ではありません。防臭と書いてあっても、外から付いたタバコのにおいを減らすとは限りません。
「制菌」はどう違う?
制菌加工は、抗菌防臭より多くの種類の菌を相手にする加工です。同じ試験機関の説明では、抗菌防臭は「人の皮膚に常在する黄色ぶどう球菌を対象としています。」
制菌加工は「人の生活環境に関連するさまざまな細菌を対象とし、より広い用途における衛生性の確保を目的とした加工です。」とされています。
| 加工の名前 | 試験に使う菌(試験機関の案内) |
|---|---|
| 抗菌防臭 | 黄色ぶどう球菌 |
| 制菌(一般用途) | 黄色ぶどう球菌・肺炎かん菌など |
| 制菌(特定用途) | 上の2つにMRSAなど |
制菌の特定用途は、医療や介護の場を想定した区分です。クリニックのスタッフTで制菌の表示が気になるときは、クリニックのスタッフT・ポロの進め方と合わせて、表示の区分を発注先に確かめます。
表示を見たら何を確かめる?
表示の言葉より、「何で試したか」を確かめます。 抗菌防臭も消臭も、試験の方法と相手で中身が変わるからです。
抗菌防臭の試験は、繊維の抗菌性を調べる日本産業規格「JIS L 1902」で行います。この試験では「抗菌活性値」という数字を出します。試験用の標準の布と比べて、菌がどれだけ増えなかったかを表す数字です。
試験機関の案内では、SEKマーク(繊維の機能加工の認証マーク)の抗菌防臭加工の基準は「抗菌活性値 ≧ 2.2」です。
消臭の試験は、においの種類ごとに成分を決めて、どれだけ減ったかを測ります。同じ試験機関の案内では「例えば汗臭では3成分、加齢臭では4成分の評価が必要となります。」とあります。
| においの種類 | 試験で見る成分(試験機関の案内) |
|---|---|
| 汗臭 | アンモニア・酢酸・イソ吉草酸 |
| 加齢臭 | 汗臭の3つとノネナール |
| ほかに試せるもの | タバコ臭・排せつ臭・生ごみ臭など |
「消臭」と書いてあっても、汗臭で試したのか、別のにおいで試したのかで、役に立つ場面が変わります。
洗濯したら効き目はどうなる?
洗濯を重ねた後の効き目は、「洗濯後にも試したか」で確かめます。消臭の試験について、試験機関は「加工の耐久性確認として、未洗濯および規定回数洗濯後の両条件で試験を実施します。」と案内しています。
抗菌の試験でも、頼むときに伝える項目に「耐久性処理(洗濯処理)の有無と処理条件」が入っています。つまり、洗濯した後の結果があるかどうかは、試験ごとに違います。
- 洗濯後の結果がある:何回洗った後の結果かを聞く
- 洗濯前の結果だけ:毎日洗うスタッフTでは、効き目が続くかは分からないと考える
- 試験の記載がない:加工の名前だけで判断しない
洗い方の条件は、ふだんの洗濯表示とも関わります。表示の基本は洗濯表示・品質表示の基礎にあります。
掲載品番の表示はどうなっている?
TSUKUWEARのカタログで、抗菌防臭や消臭の記載がある品番は2つです。どちらも、試験の方法や相手は書かれていません。
| 品番 | カタログの記載 |
|---|---|
| BSP-265(ポロシャツ) | 「消臭効果に優れた糸を使用(デオドラントステッチ)」 |
| CCS-902(靴下) | 「天然系抗菌防臭加工が付与されています。」 |
掲載のTシャツの品番には、抗菌防臭・消臭・制菌の記載がありません。 記載がないことは、機能がないという意味でも、あるという意味でもありません。
BSP-265の記載は「糸」の話で、どの部分の糸か、何のにおいで試したかは書かれていません。においの対策を条件にするなら、見本と一緒に試験の資料があるかを確かめます。靴下の作り方はオリジナル靴下の数え方にまとめています。
用途に合わせてどう選ぶ?
においの出どころで、見る表示を決めます。
| 用途 | 判断 |
|---|---|
| 夏の屋外イベントのスタッフT | 抗菌防臭の表示を候補にする |
| 焼肉・居酒屋など煙のある店 | 消臭の試験したにおいを確かめる |
| 医療・介護の現場 | 制菌の区分を確かめる |
| においより汗の乾きが大事 | 吸水速乾を先に比べる |
汗の乾きやすさは、においとは別の機能です。吸水速乾と接触冷感の違いで、表示の読み方を比べています。汗ジミの見え方はTシャツの汗ジミの確かめ方にあります。
販売するTシャツに「抗菌」「消臭」と書くときは、根拠になる資料を発注先から受け取ってから載せます。どう書いてよいかは、用途を伝えて確認が必要です。
例:夏のイベントスタッフ150人分
例として、仮に夏の野外イベントで、スタッフ150人分のTシャツを作るとします。3日間、毎日洗って着る予定です。
- 困るのは自分の汗のにおいなので、抗菌防臭の表示を候補にする
- 候補のボディについて、試験の資料があるかを発注先に聞く
- 資料があれば、洗濯後の結果があるかと、何回洗った後かを見る
- 資料がなければ、においより乾きやすさでドライの品番を比べる
TSUKUWEARのご相談は100枚以上が中心です。仕様が決まってから納品まで、およそ6〜8週間が目安で、数量・工程数・時期で前後します。
発注先に聞くこと
抗菌防臭や消臭を条件にするなら、見積もりの前に次の5つを聞きます。
- 加工の名前(抗菌防臭・制菌・消臭のどれか)
- 試験した規格や方法
- 試験した相手(菌の名前、においの種類と成分)
- 洗濯後にも試したか。何回洗った後か
- SEKマークなど認証の有無
プリントや刺繍を入れた後に、機能がどう変わるかの資料があるかも聞きます。TSUKUWEARで扱う加工は、シルクスクリーンと刺繍、その組み合わせです。
次にやること
- 困っているにおいが、自分の汗か、外から付くものかを決める
- 候補のボディの表示を見て、上の5つのうち分かることを書き出す
- 分からない項目を添えて、ユニフォーム・イベントTのページから相談する