服の毛玉と素材|発注前に確かめる3つのこと
服の毛玉は、素材の名前だけでは決まりません。発注前に確かめるのは、こすれる場所・混ぜた繊維の割合・試験の等級の3つです。
等級が出ていない品番なら、着て洗った見本を並べて比べます。「綿だから大丈夫」「ポリエステルだからできやすい」と、名前だけで決めないでください。
スウェットやTシャツをまとめて作る担当者に向けて、毛玉の見方と、発注前に聞くことをまとめます。
毛玉はなぜできる?
毛玉は、生地の表面の繊維がこすれて絡まり、小さな玉になったものです。繊維の試験機関は、この状態を「ピリング」と呼んでいます。
できやすさを左右するのは、主に次の3つです。
- こすれる強さと回数:着ている間の摩擦と、洗濯のときの摩擦
- 繊維と糸:どの繊維を、どんな割合で混ぜたか
- 生地の表面:毛羽の出やすさ
つまり、同じ「綿100%」と書かれていても、糸や編み方が違えば結果は変わりえます。比べるには、同じ物差しで測った結果を並べる必要があります。
毛玉の試験は何を見る?
毛玉のできやすさは、JIS L 1076(織物と編物のピリング試験方法)で測れます。試験機関の案内では、ICI形という方法の流れは次のとおりです。
- 生地をゴム管に巻き、内側にコルクを張った箱に入れる
- 箱を回して、生地どうしをこすり合わせる
- 決まった時間のあと、標準の写真と見比べて等級を付ける
等級は1級から5級です。数字が大きいほど、毛玉ができにくいことを表します。
試験機関は、一般的な目安として3級以上を挙げています。ただし、これは試験機関の示す目安です。発注で何級を求めるかは、注文前に依頼先と取り決めます。
掲載品番の説明で分かること
掲載品番では、供給元が毛玉の注意を書いている例があります。
| 品番 | 素材 | 供給元の注意 |
|---|---|---|
| TCR-112 | 綿・ポリエステル・レーヨン | 摩擦や洗濯で毛玉が出る場合がある |
TCR-112は、色によって混ぜた割合が3通りあります。ヘザーブラックは綿13%・ポリエステル63%・レーヨン24%、オートミールは綿62%・ポリエステル2%・レーヨン36%です(供給元の商品ページ、2026年10月27日に確認)。
同じ品番でも、色を変えると繊維の割合が変わります。毛玉を気にする企画なら、使う色ごとに見本を用意します。詳しくはトライブレンドTシャツの記事にあります。
注意書きがない品番も、毛玉ができないという意味ではありません。書いていないだけと考えて確かめます。
こすれる場所から確かめる
毛玉は、こすれる場所に集まります。着る人の動きを先に書き出すと、見本で見る場所が決まります。
| 着る場面 | こすれる場所 |
|---|---|
| 肩かけのバッグを持つ | 肩・わき腹 |
| 腕を振って歩く・作業する | わき・袖の内側 |
| 机やカウンターに寄りかかる | おなか・袖口 |
この表で当たる場所があれば、見本を着たときにその場所を見ます。スウェットのように表面に毛羽がある生地は、特にそこを比べます。
発注前に聞くこと
依頼先には、次の順で聞きます。
- その品番に、毛玉の試験の結果(等級)があるか
- あるなら、何の方法で、何級だったか
- 色によって繊維の割合が変わるか
- 試験の結果がないなら、着用と洗濯で見本を試せるか
試験の結果がないときは、こう進めます。
- 着用の見本:担当者が数日着て、上の表の場所を写真に残す
- 洗濯の見本:洗濯表示どおりに洗い、洗う前と並べて撮る
記録は「品番・色・着た日数・洗った回数・写真」の5つで足ります。見本の進め方は加工サンプルと量産承認にまとめています。
例:冬のスタッフスウェット300枚なら
仮に、店舗スタッフ用のスウェットを300枚作るとします。毎日着て、週に数回洗う使い方です。
- 候補:SW2210(綿100%・340g/㎡)と、ほかの1品番
- こすれる場所:レジ台に当たるおなか、バッグを持つわき腹
- 進め方:2品番を2人ずつ着て、同じ回数洗って並べる
どちらかに毛玉が目立つなら、その結果で品番を決めます。どちらも気になるなら、こすれる場所に柄を置かない配置も考えます。
毎日の洗濯で気になる点は、縮みやプリントのひび割れと一緒に見ると、見本を一度で済ませやすくなります。
次にやること
- 着る場面を書き出し、こすれる場所に印を付ける
- 候補の品番と色を2つに絞り、試験の結果があるかを聞く
- 結果がなければ、見本を着て洗い、写真を並べる
制服として毎日着るなら、ユニフォーム・イベントTのページで、品番の選び方と進め方を確かめられます。