シルクスクリーンの多色刷り|色数を減らしても見栄えを保つデザインの工夫
色数の多いデザインをシルクスクリーンで刷るときは、まず「色の数=版の数」として数え、次に4つの手法で減らせる色を探します。4つとは、ボディ色を使う(抜き)、近い色をまとめる、線の色を統一する、一部を刺繍に置き換える、です。
色を減らしても、見栄えの芯になる色を残せばデザインの印象は保てます。どの色が芯かを先に決めるのがコツです。
なお、グラデーションや写真のような階調の表現はこの記事では扱いません。図柄によって表現できるかが変わるため、個別のご相談になります。
多色刷りは「色の数=版の数」で考える
シルクスクリーンは、インクの色ごとに版を作り、1色ずつ重ねて刷る加工です。だから色数は、そのまま版の数と刷る回数になります。
- 色が1つ増えると、版が1枚と刷る工程が1回増える
- 色と色が接する箇所が多いほど、版の位置合わせ(見当合わせ)の確認点が増える
- 濃い色のボディでは、発色のための下地の版が加わる場合がある
版の数が費用にどう響くかは、シルクスクリーンの版代で数え方を解説しています。ここでは、デザインの側で色を減らす工夫に絞ります。
自分のデザインの色数を数える手順
色数はデータを見ただけでは数え違えやすいので、次の順で書き出します。
- デザインに使っている色をすべて書き出す
- ボディ色と同じ色を外す(その部分は刷らずに済む)
- 見分けがつきにくい近い色を、1色にまとめられるか印を付ける
- 濃色ボディの場合は、下地が要るかを確認事項に入れる
- 胸・背中など、位置ごとに分けて数える
記入例として、黒ボディの背中に「黒・白・赤・朱色・灰色」の5色を使うデザインを数えます。
| 色 | 扱い | 版 |
|---|---|---|
| 黒 | ボディ色と同じなので刷らない | 0 |
| 白・灰色 | 灰色を白にまとめられるか確認 | 1〜2 |
| 赤・朱色 | 1色にまとめられるか確認 | 1〜2 |
| 下地 | 要否を加工先で確認 | 確認待ち |
この例では、最大4色が2色まで減る可能性があります。減らすかどうかの判断は、見た目を確かめてから行います。
色数を減らす4つの手法
次の表が、色を減らす手法と見た目の変化、確認すべき点の一覧です。デザイナーとの打ち合わせにそのまま使えます。
| 手法 | 見た目の変化 | 確認すべき点 |
|---|---|---|
| ボディ色を使う(抜き) | 刷らない部分がボディの色で見える | ボディ色を変えると印象も変わる |
| 近い色をまとめる | 色の段階が減り、すっきりする | まとめた色で境目が消えないか |
| 線の色を統一する | 輪郭がそろい、まとまりが出る | 細い線がつぶれないか |
| 一部を刺繍に置き換える | 立体感と質感の差が出る | 工程が2つになる・細部の再現 |
ボディ色を使う(抜き)
抜きは、刷らない部分をつくり、そこにボディの色を見せる方法です。黒い髪や黒い文字を黒ボディで表すなら、その色の版は要りません。
ただし、ボディ色を複数展開するときは、色ごとに見え方が変わります。ボディ色ごとに完成イメージを並べて確認します。
一部を刺繍に置き換える
ロゴのワンポイントだけを刺繍にすると、プリントの色数を減らしつつ質感の差をつけられます。刺繍とシルクスクリーンの組み合わせの進め方は、刺繍×シルクスクリーンのページにまとめています。
多色のまま刷るときに確認すること
色を減らさずに刷る判断もあります。その場合は、次の点を加工先と確認します。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 色と色が接する箇所 | 位置合わせの影響を受けやすい |
| 細い線・小さな文字 | 実寸で刷れる細さかを見る |
| 色の重なり方 | 重ねるか、並べるかで版の作り方が変わる |
| ボディ色との組み合わせ | 下地の要否と発色 |
仕上がりの見え方は、データではなく刷った実物で判断します。サンプルの進め方は加工サンプルと量産承認のページにあります。
色を減らす前に確認すること
色を減らす作業は、元のデザインを変えることでもあります。手を入れる前に、次の点を確かめます。
- ロゴに使用規定がある場合は、変えてよい範囲と承認者を先に確認する
- イラストの作者や監修者がいる場合は、色を変える案を見せて承認を取る
- 色を減らした案と元の案を並べ、どちらで進めるかを記録に残す
ボディ色とプリント色の組み合わせ方は、ボディカラーとプリント色の選び方で詳しく扱っています。
よくある質問
シルクスクリーンは何色まで刷れますか?
色数の上限は、デザインの大きさや位置、加工先の設備で変わります。データを拝見して確認します。
グラデーションや写真をそのまま刷れますか?
この記事の手法の範囲外です。図柄によって表現できるかが変わるため、データを添えてご相談ください。
色数を減らすと費用は変わりますか?
版は色ごとに作るため、色が減れば版の数も減ります。金額はボディと数量と合わせてお見積もりします。
まとめ
- シルクスクリーンの多色刷りは、色の数がそのまま版の数になる
- 色数はボディ色・近い色・位置ごとに分けて書き出すと数え違えない
- 減らす手法は、抜き・色をまとめる・線色の統一・刺繍への置き換えの4つ
- ロゴや作品の色を変える前に、変えてよい範囲と承認者を確認する
デザインのデータか画像を送っていただければ、色数の数え方と減らせる色の候補をお返しします。ボディ色や枚数が未定でもかまいません。無料相談のフォームかLINEからお送りいただくと、原則3営業日以内に返信します。