Tシャツ入稿データの作り方|ai・pdf・アウトライン化・実寸の基本
「デザインはできたけれど、どんなファイルで渡せばいいのか分からない」。Tシャツを初めて作る方から、いちばん多く聞かれる質問の一つです。
結論から言うと、押さえるポイントは5つだけです。ファイル形式(aiまたはpdf)、文字のアウトライン化、解像度、色の指定、そして実寸の指定です。
この記事では、その5つを「なぜ必要なのか」という理由とあわせて解説します。シルクスクリーンと刺繍で違う点にも触れます。
入稿データで押さえる5つのポイント
先に全体像を表にまとめます。細かい理由は次の見出しから順に説明します。
| 項目 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| ファイル形式 | aiまたはpdf(ベクター) | 拡大しても輪郭が崩れない |
| 文字 | アウトライン化する | 書体の置き換わりを防ぐ |
| 解像度 | 写真は実寸で300dpi以上 | 粗さがそのまま出る |
| 色 | 色数を絞り、指定を書く | 版の数と仕上がりに直結 |
| 実寸 | 幅・高さをmmで書く | 「いい感じ」は人によって違う |
この5つがそろっていれば、加工先とのやり取りは大きく減ります。逆に一つでも欠けると、確認の往復で日数を使います。
ベクターとラスターの違い
デザインデータには「ベクター」と「ラスター」の2種類があります。ベクターは点と線の計算式で形を記録し、拡大しても輪郭が崩れません。
ラスターは小さな点(ピクセル)の集まりで、拡大するとギザギザになります。設計図と写真の違い、と考えると分かりやすいです。
- ベクター形式: ai / pdf / svg / eps
- ラスター形式: jpg / png / psd(画像レイヤー)
シルクスクリーンは版を作る工程があるため、ベクターが理想です。写真のような柄は点の集まりで表現するので、再現の可否は事前の相談になります。
文字はアウトライン化する
フォント(書体)はパソコンごとに入っているものが違います。データを開いた側に同じ書体がなければ、別の書体に勝手に置き換わります。
これを防ぐのが「アウトライン化」で、文字を図形に変換する操作です。一度変換すると文字としては編集できなくなるので、元データは別名で残しておきます。
- 文字をすべて選択してアウトラインを作成する
- 変換後、文字ツールで選べなくなっていれば成功
- 変換前のデータは「_元データ」などの名前で別保存
小さな文字ほど、書体が変わると印象が大きく変わります。ロゴの下に入れるコピーなども忘れずに変換します。
解像度は「実寸で」考える
画面上で大きく見える画像でも、プリントのサイズに引き伸ばすと足りないことがあります。一般的な目安は「実際にプリントする大きさで300dpi以上」です。
例えば幅300mmでプリントするなら、幅300mmの状態で300dpiあるかを確認します。画像を後から拡大しても、粗さは戻りません。
- 画像はプリント実寸に設定してから解像度を見る
- ウェブからダウンロードした画像は基本的に足りない
- 拡大で解像度を上げても画質は上がらない
写真を使いたい場合は、撮影時のデータ(元の大きなファイル)を用意します。
色指定と色数の考え方
シルクスクリーンは1色につき1つの版を作ります。つまり色数はそのまま版の数になり、費用と工程に直結します。
色は「なんとなく赤」ではなく、色見本帳の番号かデータ上の色をそのまま使う指定にします。濃色ボディに淡い色を載せる場合は下地の相談も必要で、詳しくはボディカラーとプリント色の選び方にまとめています。
- 使う色を1色ずつ別のレイヤーか別オブジェクトに分ける
- グラデーションや透明度はシルクでは再現しにくい(要相談)
- ボディの色も指定に含める(白なのか黒なのか)
色数を減らすだけで仕上がりが安定し、版の数も減ります。デザインの段階で色数を意識しておくと後が楽です。
実寸と位置を数字で指定する
「胸に大きめ」「背中にドーンと」は、人によって想像する大きさが違います。幅と高さをmmで書き、位置も「襟の縫い目から◯cm下、中心」のように言葉で指定します。
サイズ展開が広い場合は、キッズと大人で同じ実寸にするか、比率で変えるかも決めます。位置の定番と考え方はプリント位置とサイズの決め方で詳しく扱います。
- プリントの幅・高さ(mm)
- 基準となる位置(襟の縫い目、脇の縫い目など)と距離
- サイズ別に変えるかどうか
数字で書いたものは、そのままサンプルの確認基準になります。
刺繍にする場合の違い
刺繍は、プリント用のデータをそのまま機械に読ませることができません。刺繍用のデータ(パンチング)に変換する工程が入ります。
とはいえ、出発点はロゴのai/pdfで十分です。ただし細い線や小さな文字は糸で再現できる限界があるので、事前に確認が入ります。
詳細は刺繍データ(パンチング)とはをご覧ください。
- 刺繍にしたい部分を明記する
- 糸の色は色見本帳の番号か近い色の指定
- 細部の省略が入る可能性を知っておく
入稿前チェックリスト
送る前に、次の項目を上から順に確認します。すべてにチェックが付けば、やり取りの手戻りはほとんどありません。
- ファイルはai/pdfで、ベクターになっている
- 文字はすべてアウトライン化した(元データは別保存)
- 写真素材は実寸で300dpi以上ある
- 色数と各色の指定が書いてある
- プリントの幅・高さ・位置が数字で書いてある
- ボディの品番・色・サイズ配分が添えてある
- 刺繍にする箇所があれば明記した
ボディや数量などデータ以外の情報は、発注仕様シートに沿って書くと抜けがありません。
まとめ
- 入稿データはai/pdfのベクターが基本
- 文字はアウトライン化し、元データは別に残す
- 写真は実寸で300dpi以上を確認する
- 色数・実寸・位置はすべて数字と言葉で指定する
- 刺繍はパンチングという変換工程が入る
データの作り方で迷う点があれば、作りかけの状態でも構いません。無料相談からファイルを添えてお送りいただければ、必要な修正点をお返しします。