刺繍とプリントを一枚に組み合わせる方法|2工程の設計と工程順
胸に小さな刺繍のロゴ、背中に大きなプリント。この組み合わせは、YouTuberの公式グッズTシャツで2柄×3色・合計3,000枚を製作した例でも採用された形です。
刺繍とプリントは得意なことが違うため、一枚の中で役割を分けると、それぞれの長所だけを使えます。
この記事では、2工程にすると何が変わるか、どこを刺繍にするか、工程の順番と納期への影響を、企画を立てる方向けに整理します。
2工程にすると何が変わるか
刺繍とプリントを一枚に入れると、加工の工程が2つになります。加工先での作業が増えるぶん、仕上がりの幅は大きく広がります。
| 項目 | 1工程(プリントのみ) | 2工程(刺繍+プリント) |
|---|---|---|
| 見た目 | 平面的で統一感がある | 立体と平面の対比が生まれる |
| 費用の構造 | 版代+加工費 | 版代+パンチング+加工費2つ |
| 納期 | 加工1回分 | 加工2回分を順番に行う |
2工程の費用は、ボディ代・版代(刺繍はパンチングデータ)・加工費・付属費の4つの組み合わせで決まります。数量が増えるほど、初期費用を1枚あたりで割った負担は小さくなります。
同じボディに2つの加工を一つの窓口で手配できるかが、依頼先を選ぶときの分かれ目になります。刺繍×シルクスクリーンのサービスでは、この2工程をまとめて手配しています。
どこを刺繍にして、どこをプリントにするか
役割分担の基本は「小さくて質感を見せたい部分は刺繍、大きくて色を見せたい部分はプリント」です。
| 位置 | 向く加工 | 理由 |
|---|---|---|
| 左胸のワンポイント | 刺繍 | 小さくても存在感が出る |
| 背中の大きな柄 | プリント | ベタ面と多色に強い |
| 袖のロゴ | 刺繍かプリント | 大きさで決める |
| 襟裏・裾のタグ風 | 刺繍 | ブランドらしさが出る |
刺繍に向く条件はTシャツ刺繍加工とは、プリントに向く条件はシルクスクリーンプリントとはで確認できます。
迷ったときは、次の順で考えると決まりやすいです。
- 一番見せたい要素を決める(ロゴか、絵柄か)
- その要素の大きさを実寸で決める
- 小さければ刺繍、大きければプリントに割り当てる
- 残りの要素をもう一方の加工に回す
工程の順番と納期への影響
2つの加工は同時にはできず、順番に行います。一般的にはプリントを先に行い、乾燥・定着のあとに刺繍を入れる流れが多いです。
順番は加工位置の重なりや生地の状態で変わるため、加工先が仕様を見て決めます。
- プリント → 乾燥 → 刺繍 → 検品、という順が基本
- 同じ位置に刺繍とプリントを重ねる場合は、仕上がりの見込みを事前に確認する
- 2工程ぶんの加工時間が必要なため、1工程より余裕を見る
納期は仕様確定後およそ6〜8週間が目安で、数量・工程数・時期で前後します。冒頭の3,000枚の例は発注から約5週間半で納品しましたが、個別の実績で、標準の目安ではありません。
制作の全体像は制作の流れで、日程の逆算はイベント日・発売日から逆算する制作スケジュールで説明しています。
データは2種類の準備が必要
刺繍とプリントでは、必要なデータの形が異なります。同じロゴを両方に使う場合でも、それぞれの加工に合わせた準備が要ります。
| 加工 | 必要なデータ | 補足 |
|---|---|---|
| シルクスクリーン | ai・pdf(アウトライン化) | 色ごとに分けられる形 |
| 刺繍 | ロゴデータ+実寸+糸色 | パンチングデータに変換する |
入稿前に決めておくと、やりとりが一度で済む項目です。
- 刺繍の位置と実寸、糸色の希望
- プリントの位置と実寸、インク色、色数
- ボディの品番・色・サイズ配分
- 2工程を入れる枚数(全枚数か、一部の色だけか)
仕様を一枚にまとめておくと、見積もりの往復が減ります。
2工程が向く企画・向かない企画
2工程は仕上がりの満足度を上げますが、すべての企画に必要なわけではありません。
- 向く: 販売するグッズ、ブランドの定番、長く着てもらいたい一枚
- 向く: 刺繍のロゴを「ブランドの印」として全アイテムに入れたい企画
- 向かない: 配布用で枚数を優先する企画(プリント1工程で十分なことが多い)
- 向かない: 極細のロゴしかない場合(刺繍で再現できないため、プリント1工程で検討)
配布用や短期のイベント用なら、プリント1工程で設計するほうが合理的な場合もあります。
まとめ
- 刺繍は小さく質感を見せる部分、プリントは大きく色を見せる部分に分ける
- 2工程は加工を順番に行うため、納期に余裕を見る
- 費用はボディ・版(パンチング)・加工費2つ・付属の組み合わせで決まる
- データは刺繍用とプリント用の2種類を準備する
- 販売グッズやブランドの定番に向き、配布用は1工程で十分な場合が多い
胸は刺繍、背中はプリント、といった構想がある方は、ラフ画だけでも無料相談からお送りください。工程順と仕上がりの見込みをご案内します。